解体工事で施主がぶつかりやすいトラブルは、あとからの追加請求、廃材の不法投棄、近所への被害、工期の遅れなどです。多くは契約の前に確かめておけば防げます。建設業法・廃棄物処理法・建設リサイクル法の条文をもとに、防ぎ方と相談先を整理しました。
よくあるトラブルと、防ぐために契約前に確かめること
| トラブル | 契約前に確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| あとから追加で請求された | 見積もりの範囲(基礎・塀・庭木・残置物を含むか)と、地中から埋設物が出たときなど、工事内容が変わったときの代金の決め方を契約書に書く | 建設業法19条1項(工事内容、設計変更時の代金の変更と算定方法) |
| 廃材を不法投棄された | 見積書に廃材の運搬・処分費が入っているか。80㎡以上なら契約書に再資源化の施設と費用が書かれているか | 廃棄物処理法16条・21条の3、建設リサイクル法13条 |
| 隣家や車を傷つけた | 第三者に損害を与えたときの賠償の負担を契約書に書く。業者が損害賠償保険に入っているか聞く | 建設業法19条1項 |
| 工事が終わらない | 着手と完成の時期、遅れたときの違約金などを契約書に書く | 建設業法19条1項 |
| 無登録の業者だった | 解体工事業の登録番号(または建設業許可番号)を確かめる | 建設リサイクル法21条 |
| 石綿(アスベスト)が後から見つかった | 工事の前に事前調査の結果を書面で説明してもらう。除去が要るときの費用の扱いを決めておく | 大気汚染防止法18条の15 |
見積書と契約書で確かめる項目は解体の見積書・契約書で確かめることに詳しくまとめています。
不法投棄:施主にも無関係ではない
廃棄物処理法16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めています。そして建設工事で出た廃棄物については、発注者から直接工事を請け負った元請業者が「排出事業者」として処理の責任を負う、とされています(同法21条の3)。
つまり処理の責任は元請業者にありますが、施主の土地から出た廃材が捨てられれば、施主も巻き込まれかねません。防ぐためにできることは次のとおりです。
- 見積書で「廃材の運搬・処分」の費用が入っているかを確かめる。ほかの業者より極端に安い見積もりは、どこが安いのか内訳で確かめる
- 80㎡以上の解体なら、契約書に再資源化をする施設の名称・所在地と費用が書かれる決まりです(建設リサイクル法13条)
- 工事のあとには、元請業者から再資源化等が完了したことの書面の報告を受け取る決まりです(同法18条)
困ったときの相談先
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| まずは | 契約した解体業者(元請)。やりとりは日付の分かる記録(メール・書面・写真)で残す |
| 契約・お金のトラブル | お住まいの市町村の消費生活センター(消費者ホットライン 188) |
| 不法投棄が疑われる | 市町村・県の廃棄物(産業廃棄物)の担当課 |
| 登録業者について | 福岡県(解体工事業者の登録の案内)。登録は県知事が行っていて、不正な手段で登録を受けた業者などには、登録の取消しや事業の停止を命じる権限があります(建設リサイクル法35条) |
| 近所への被害・苦情 | 業者と施主で対応。騒音・振動は市町村の環境の担当課(→ 隣の解体工事がうるさい・揺れるとき) |
業者選びの段階でできること
- 登録番号と有効期限を確かめる:当サイトの福岡県の解体業者一覧は、県の登録名簿をもとに登録番号と満了日を載せています
- 2〜3社から同じ条件で見積もりを取る:内訳を並べると、抜けている項目や極端な差に気づけます
- 口約束で始めない:工事内容・代金・工期・賠償の負担を書面の契約書にする(建設業法19条)
隣との境にあるブロック塀は、法律上は両家の共有と推定されます。壊す前に境のブロック塀を壊すときの注意を確かめてください。
解体工事業の登録と建設業許可の違い、福岡県での登録の要件・手続きは解体工事業の登録とはにまとめています。
現場に掲げる看板(登録票・許可票・石綿の掲示)の中身と大きさ、看板がない現場の相談先は解体工事の看板(標識)は3種類にまとめています。
出どころ:建設業法 第19条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第16条・第21条の3、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第13条・第18条・第21条・第35条、大気汚染防止法 第18条の15(いずれも e-Gov 法令検索)。当サイトが2026年9月26日に確認しました。この記事は制度の説明で、個別のトラブルについての法律相談ではありません。
業者を選ぶときに確かめること全体は、解体業者の選び方にまとめています。