隣との境のブロック塀を壊すとき|共有の塀は勝手に解体できない(民法)、福岡市の撤去補助

業者の選び方

家の解体と一緒にブロック塀も壊したい。でもその塀が隣との境界線の上に立っているなら、自分だけの判断で壊すとトラブルになります。境界の塀は法律上「両家の共有」と推定されるからです。民法の条文と、福岡市の撤去の補助金をもとに整理しました。

先に結論:その塀は誰のものか

塀の場所 持ち主 壊すときは
境界線の上 隣と共有と推定される(民法229条) 隣の同意が要る。費用の分け方も話し合って書面に
自分の敷地の内側 原則として自分のもの 自分の判断で壊せる。ただし工事で隣の土地に入るなら事前に通知
隣の敷地の内側 原則として隣のもの 壊せない。隣に相談する

「推定」なので、どちらかが自分の費用で建てたと示せれば、単独の所有になることもあります。まずは境界の位置(境界標・測量図)と、塀を建てた経緯を確かめてください。

境界の塀は「共有」と推定される

民法229条は「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」と定めています。ブロック塀のような「囲障・障壁」も、境界線の上にあれば両家の共有と推定されます。

  • 共有物を壊すのは「変更」にあたり、ほかの共有者の同意が要ります(民法251条1項)。隣の同意なしに解体業者に壊させると、あとで揉める原因になります
  • 境界の共有物は、共有をやめるための分割を請求できません(民法257条)。塀を半分ずつに分けることはできず、話し合いで決めることになります
  • 共有物に関する負担は持分に応じて負うのが原則です(民法253条1項)。撤去の費用をどう分けるかは、隣と話し合って書面に残すのが確実です

なお、持ち主の違う二棟の建物のあいだに空地があるとき、その境界に囲障(塀)を設ける費用と保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担するとされています(民法225条・226条)。壊したあとに新しい塀やフェンスを建てるなら、この点もあわせて話し合えます。

工事で隣の土地に入るとき

自分の敷地の内側の塀でも、壊すときに隣の土地に足場を置いたり立ち入ったりすることがあります。民法209条は、境界やその付近の塀・建物などを取り壊す(収去する)ために必要な範囲で隣地を使用できると定めています(2023年4月の改正)。ただし、

  • 使う日時・場所・方法は、隣に損害が最も少ないものを選ぶ
  • あらかじめ、目的・日時・場所・方法を隣の所有者と使っている人に通知する
  • 隣の住家(家の中)に入るには、住んでいる人の承諾が要る
  • 隣が損害を受けたときは、償金を請求できる

解体業者任せにせず、施主から隣へ一声かけておくと安心です。近所へのあいさつやお知らせは隣の解体工事がうるさい・揺れるときにもまとめています。

危険なブロック塀の基準と、福岡市の撤去の補助金

建築基準法施行令62条の8は、補強コンクリートブロック造の塀の高さを2.2メートル以下とし、壁の厚さや鉄筋の入れ方、高さ1.2メートルを超える塀の控え壁などを定めています。古い塀には、この基準に合わないものがあります。

福岡市には、道路に面した危険なブロック塀の撤去に補助があります(市の公式ページ、2026年9月16日更新)。

項目 内容
対象の塀 道路に面していて、①高さ2.2mを超える、②高さ1.2mを超えて控え壁が有効に設けられていない、③高さ1m以上で著しいひび割れ・傾きなどがある、のいずれか
補助額 「撤去する塀の長さ×15,000円」と「費用の3分の2」の低いほう、上限30万円
主な条件 工事のあとに残る塀の高さが1m未満であること、残る塀が道路の中にないこと。交付決定の前に契約・着工すると対象外

家の解体と一緒に道路側の塀も壊すなら、見積もりを頼む段階で市に相談してください。福岡市のそのほかの解体の補助(耐震の除却)は福岡県の解体の補助金一覧にまとめています。

解体工事と一緒に塀を壊すときのチェック

  1. 境界の位置を確かめる:境界標、測量図、登記の地積測量図など
  2. 境界の上の塀なら隣と話し合う:壊すこと・費用の分け方・壊したあと何を建てるかを書面に
  3. 見積書に塀の撤去を入れてもらう:長さ・高さ・基礎まで撤去するかを明記(解体の見積書・契約書で確かめること)
  4. 境界標を動かさないよう業者に伝える:重機で壊すと境界標が飛ぶことがあります
  5. 道路に面した危険な塀なら補助金を先に申請(福岡市など)

出どころ:民法 第209条・第225条・第226条・第229条・第251条・第253条・第257条、建築基準法施行令 第62条の8(いずれも e-Gov 法令検索)、福岡市「ブロック塀等除却費補助事業」(2026年9月16日更新)。当サイトが2026年9月26日に確認しました。この記事は制度の説明で、個別の境界や所有権についての法律相談ではありません。境界の争いは、土地家屋調査士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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