解体費用の勘定科目と税金の扱い|土地と一緒に買った建物・建替え・売却の3つで分かれる(国税庁の通達)

費用・補助金

建物の解体費用をどの勘定科目で処理するか、税金の計算でどう扱うかは、なぜ壊すのかで分かれます。国税庁の法令解釈通達とタックスアンサーをもとに、よくある3つの場面に分けてまとめます。勘定科目の名前そのものは法令で決まっていないので、ここでは税金の計算でどこに入るかを軸に説明します。

早見表:解体の目的で扱いが分かれる

場面 建物の帳簿価額(残っている価値)と解体費用の扱い 根拠
① 建物つきの土地を買い、はじめから建物を壊して土地を使うつもりだった 建物の価額と取壊し費用の合計(廃材を売った額は差し引く)は、土地の取得価額(取得費)に入れる。費用にはならない 法人税基本通達7-3-6、所得税基本通達38-1
② 会社が自分の建物を壊して建て替える 壊した建物の取壊し直前の帳簿価額は、取り壊した日の属する事業年度の損金 法人税基本通達7-7-1
③ 土地を売るために建物を壊した 取壊し費用と建物の損失は、土地を売ったときの譲渡費用 国税庁タックスアンサー No.3255(くわしくは家を解体して土地を売るとき)

① 建物つきの土地を買って、すぐ壊す場合

法人税基本通達7-3-6(法人)と所得税基本通達38-1(個人)は、建物のある土地を建物ごと買った場合などで、取得後おおむね1年以内に取壊しに着手するなど、当初から建物を壊して土地を使う目的だったことが明らかなときは、建物の価額と取壊し費用の合計額(廃材等を処分して得た金額は差し引く)を土地の取得価額(取得費)に算入するとしています。

  • 土地は減価償却しないので、この場合の解体費用はその年の費用(損金・必要経費)にならない。土地を将来売るときの取得費になる
  • ただし国税庁のタックスアンサー No.5401 は、法人について、はじめは建物を事業に使うつもりで取得したが、やむを得ない理由で使用をあきらめたような場合は、1年以内に壊しても土地の取得価額に含めず、取り壊したときの損金にできるとしています
  • 「1年以内」は目安で、判断の軸ははじめから壊すつもりだったかどうかです

② 会社が自分の建物を壊して建て替える場合

法人税基本通達7-7-1は、法人がまだ使える建物などを取り壊して代わりの建物を取得した場合(①に当たる場合を除く)、取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(廃材等の見積額を除く)を、取り壊した日の属する事業年度の損金に算入するとしています。建物の帳簿価額は、「固定資産除却損」などの名前の科目で処理する例がありますが、科目名は会社の決め方によります。

解体工事の代金そのもの(取壊し費用)の扱いは、会計処理の方針や工事の中身によって変わることがあるので、顧問の税理士に確認してください。

個人(不動産賃貸業・事業)の場合

所得税法51条は、不動産所得・事業所得などを生む事業用の固定資産について、取りこわし・除却などで生じた損失の金額を、その年の必要経費に算入するとしています。所得税基本通達51-2によると、この損失の金額は資産そのものについて生じた損失(取り壊す前の価額から、発生資材の価額などを差し引いたもの)です。

  • アパートや貸家を壊した場合、建物の未償却残額にあたる損失が必要経費の対象になる
  • 不動産の貸付けが事業といえる規模でない場合は、所得税法51条4項により、損失を必要経費に入れられるのはその年の不動産所得の金額が限度になる
  • 解体工事の代金そのものは、壊す目的(建て替え・売却・土地とともに取得など)で扱いが変わる。①・③に当たるかを確かめ、判断に迷うときは税務署か税理士に相談を

なお、自分が住んでいる家(事業に使っていない家)を壊した費用は、その年の所得から差し引くことはできません。土地を売るときに譲渡費用になる場合があります(③)。

補助金を受けたときは

解体に市町村の補助金を受けた場合、補助金の分を収入としてどう扱うかも確かめが必要です。補助金の制度は福岡県の解体の補助金一覧にまとめています。

解体の見積書は「内訳」を分けてもらう

税金の扱いを正しく判断するには、どの建物を、いつ、いくらで壊したかが分かる書類が要ります。見積書・契約書・請求書で、建物ごとの解体費用、付帯工事(塀・庭木など)、家財の処分費が分かれていると、後で整理しやすくなります(解体の見積書・契約書で確かめること)。建物を壊したら1か月以内に建物滅失登記も必要です。

貸しているアパートを取り壊すときの入居者の立ち退きや固定資産税の注意は、アパートを解体するときにまとめています。

出どころ:国税庁 法人税基本通達7-3-6(土地とともに取得した建物等の取壊費等)・7-7-1(取り壊した建物等の帳簿価額の損金算入)、所得税基本通達38-1(土地等と共に取得した建物等の取壊し費用等)・51-2(損失の金額)、所得税法51条(e-Gov 法令検索)、国税庁タックスアンサー No.5401(令和7年4月1日現在法令等)・No.3255。当サイトが2026年9月27日に確認しました。この記事は制度の説明で、個別の税務相談ではありません。実際の処理は税務署または税理士にご確認ください。

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