「空き家を解体したいけれど、まとまったお金がない」。そんなときに使える手は、ひとつではありません。この記事では、当サイトが公的な資料や金融機関の公式ページで確かめた制度だけを使って、手元のお金が少なくても解体を進める方法を、使う順に並べます。
1. まず、いくらかかるのかを確かめる
「お金がない」と感じる前に、実際の金額を知ることが先です。延べ床30坪の木造なら、公的な基準単価で計算すると約149万円(重機で解体できる場合)という目安になります。坪数ごとの早見表は家の解体費用は坪数でいくら?、条件を変えて試すなら解体費用のシミュレーターをどうぞ。実際の金額は現地を見てもらわないと決まらないので、福岡県の解体業者一覧から見積もりを取って比べてください。
2. 家財を先に片づけて、見積もりから外す
家の中に残った家具や家電(残置物)は、家庭の一般廃棄物として、持ち主が市町村の決めた方法で処分するものとされています。自分で粗大ごみなどに出せるものを先に片づけておけば、そのぶん業者に頼む範囲が減ります。出し方は解体前の家財・残置物の処分にまとめています。
3. 市町村の補助金を使う(必ず工事の前に申し込む)
福岡県では、41市町村が空き家の解体に補助を出しています(2026年10月時点)。費用の1/3〜1/2、上限はおおむね20万〜100万円が多く、どれも契約・着工の前の申請が条件です。先に契約してしまうと受けられません。市町村ごとの条件は福岡県の解体の補助金一覧で確かめてください(国から直接もらえる補助はありません。理由は空き家の解体に国の補助金はある?)。
補助金はふつう工事が終わってから振り込まれますが、北九州市には「代理受領制度」があります。解体業者が申請者の委任を受けて補助金を代わりに受け取るしくみで、申請者は工事費と補助金の差額だけを用意すればよくなります(業者の合意と所定の書類が必要)。詳しくは北九州市の解体補助金の使い方をご覧ください。
4. 解体向けのローンを使う
福岡県内には、空き家の解体に使えるローンがあります。たとえば福岡銀行の空き家解体ローンは10万〜300万円、パート・アルバイト・年金受給者も申し込めるとされ、提携する市(北九州市・田川市・柳川市・久留米市)の補助金を受けると金利が下がります。4つのローンの比較は福岡で解体費用に使えるローン4つを比べたにまとめています。審査があるので、必ず借りられるものではありません。
5. 亡くなった親の預金から払う
相続した実家なら、遺産分割の前でも、各相続人が単独で親の預金の一部を引き出せる制度があります(民法909条の2)。引き出せるのは、口座ごとに「相続開始時の預金額 × 1/3 × その人の法定相続分」で、同じ金融機関からは合計150万円までです。兄弟での費用の分け方とあわせて、実家の解体費用は誰が払う?で説明しています。
6. 解体せずに、建物付きのまま売る
自分で解体しないで、建物が建ったまま売る方法もあります。相続した空き家を売るときの「3,000万円の特別控除」(相続人が3人以上なら2,000万円)は、国税庁の説明によると、令和6年1月1日以後の売却なら、建物付きで売って、売った年の翌年2月15日までに建物の取壊し等が行われた場合も対象になります(ほかに、昭和56年5月31日以前の建築、相続から3年目の年末までの売却、売却代金1億円以下などの条件があります)。
特例の条件は細かいので、売る前に税務署か税理士に確かめてください。解体費用を売却の経費(譲渡費用)にできるかどうかは家を解体して土地を売るときにまとめています。
やってはいけないのは「放置」
お金がないからと空き家を放置すると、負担はかえって大きくなります。
- 市町村から勧告を受けると、土地の固定資産税の住宅用地の特例が外れます(空き家を解体すると固定資産税が6倍?)
- 命令に従わず市町村が代わりに解体(代執行)すると、その費用は所有者から徴収され、払わなければ国税滞納処分の例で取り立てられます(空家法22条、行政代執行法2条・6条)
「すぐには払えない」ときこそ、まず市町村の空き家の窓口に相談し、使える補助と手順を確かめるのが近道です。
出どころ:民法 第909条の2、空家等対策の推進に関する特別措置法 第22条、行政代執行法 第2条・第6条(いずれも e-Gov 法令検索)、国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、環境省「家庭の残置物の処理はどうしたらいいの?」、北九州市「老朽空き家等除却促進事業」、各金融機関の公式ページ、福岡県内の各市町村の公式ページ。当サイトが2026年9月に確認した内容をもとに、2026年9月27日にまとめました。制度・金利は変わるので、必ず各窓口で最新の条件をお確かめください。