解体したら建物滅失登記|1か月以内・自分でできる手順と必要書類、福岡県の提出先(法務局)

業者の選び方

家を解体しても、法務局の登記簿には建物が残ったままです。建物がなくなったことを登記簿に反映させる手続きが建物滅失登記で、不動産登記法は取り壊した日から1か月以内の申請を義務づけています。解体業者がやってくれる手続きではなく、建物の所有者が申請するものです。

この記事では、条文と法務局の申請書の記載例をもとに、自分で申請するときの書類・書き方・費用と、福岡県内の提出先(管轄の法務局)をまとめます。

建物滅失登記の決まり

項目 内容
期限 建物が滅失した日(取り壊した日)から1か月以内(不動産登記法57条)
申請する人 登記簿の所有権の登記名義人(甲区に載っている人)。甲区がない建物は、表題部に所有者として載っている人(同57条)
怠ったとき 正当な理由がないのに申請を怠ると10万円以下の過料(同164条)
登録免許税 かからない。登録免許税法の別表第一に、建物の滅失の登記は課税の対象として挙がっていません
申請のしかた 申請書(書面)を管轄の法務局に出すか、オンラインで申請する(同18条)

誰が申請する? 解体業者ではない

申請するのは建物の所有者です。解体業者の役目は、次の章の「建物滅失証明書(取壊し証明書)」を出すところまでです。

  • 親名義のまま亡くなっている建物:相続人が申請できます(不動産登記法30条「一般承継人による申請」)。この場合、相続人であることが分かる戸籍などが必要になるので、申請先の法務局で確かめてください
  • 自分で申請しない場合:代理を頼めるのは、表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士です(土地家屋調査士法3条)。報酬は事務所ごとに違うので、見積もりを取ってください

実家を兄弟で相続した場合の費用の分け方は、実家の解体費用は誰が払う?にまとめています。

必要な書類(法務局の記載例より)

法務局が公開している「建物滅失登記申請書」の記載例(令和6年3月29日更新)では、次のものを出します。

書類 どこで手に入れるか・注意
登記申請書 法務局のホームページに様式と記載例がある。申請人の氏名の後に認印を押す
建物滅失証明書(取壊し証明書) 解体業者(工事請負人)が作る。建物の表示・取り壊した日・所有者を書き、業者が記名押印したもの
解体業者の印鑑証明書など 証明書が本物か確かめるため。業者が会社なら代表者の資格を証する書面(登記事項証明書など)と代表者の印鑑証明書、個人事業なら個人の印鑑証明書。会社の場合、申請書に会社法人等番号を書けば、この2つは省略できる
住民票の写しなど(必要な人だけ) 登記簿の住所と今の住所が違うときは、住所の移り変わりが分かる住民票の写しや戸籍の附票の写し

解体業者を選ぶ段階で、「工事のあとに建物滅失証明書と印鑑証明書(または会社法人等番号)を出してもらえるか」を確かめておくと安心です。見積書・契約書で確かめることは解体の見積書・契約書で確かめることにまとめています。

申請書の書き方

  1. 登記事項証明書を取る:建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積を、登記記録のとおりに写すためです。不動産番号を書けば、所在・家屋番号・種類・構造・床面積は省略できます
  2. 登記の目的:「建物滅失」
  3. 添付情報:「建物滅失証明書」。業者が会社で番号を書くなら「建物滅失証明書(会社法人等番号 ○○)」
  4. 登記原因及びその日付:建物滅失証明書に書かれた取り壊した日と「取壊し」
  5. 申請人:登記簿の甲区にいる今の登記名義人の住所・氏名(甲区がなければ表題部の所有者)。平日の日中につながる電話番号(携帯でも可)も書く。補正があると法務局から連絡が来ます
  6. 申請日と提出先:申請書を出す日と、管轄の法務局の名前

申請書が複数枚になるときは、つづり目に契印(申請人が2人以上なら1人でよい)を押します。

福岡県内の提出先(不動産登記の管轄)

建物の所在地で、申請先の法務局が決まります。福岡法務局の「不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧」(2023年3月17日更新)から、不動産登記の管轄だけを抜き出しました。

法務局 建物の所在地
福岡法務局(本局) 福岡市東区・博多区・中央区・南区、那珂川市
西新出張所 福岡市早良区・城南区・西区、糸島市
粕屋出張所 糟屋郡粕屋町・志免町・宇美町・須恵町・篠栗町・久山町
福間出張所 宗像市、古賀市、福津市、糟屋郡新宮町
筑紫支局 筑紫野市、大野城市、太宰府市、春日市
朝倉支局 朝倉市、朝倉郡筑前町・東峰村
飯塚支局 飯塚市、嘉麻市、嘉穂郡桂川町
直方支局 直方市、宮若市、鞍手郡鞍手町・小竹町
久留米支局 久留米市、小郡市、うきは市、三井郡大刀洗町
柳川支局 柳川市、大牟田市、大川市、みやま市、三潴郡大木町
八女支局 八女市、筑後市、八女郡広川町
北九州支局 北九州市小倉北区・小倉南区・戸畑区・門司区
八幡出張所 北九州市若松区・八幡東区・八幡西区、中間市、遠賀郡芦屋町・水巻町・岡垣町・遠賀町
行橋支局 行橋市、豊前市、京都郡苅田町・みやこ町、築上郡築上町・吉富町・上毛町
田川支局 田川市、田川郡川崎町・香春町・福智町・糸田町・添田町・赤村・大任町

管轄は変わることがあるので、出す前に福岡法務局のホームページで確かめてください。

建物滅失証明書がもらえないとき

法務局の記載例は、建物滅失証明書を「工事請負人から交付された場合には」添付する、という書き方です。解体業者が廃業した、自分で壊した、昔に壊していて証明書が無い、といった場合は、申請する前に管轄の法務局に相談してください。表示に関する登記では、登記官が必要に応じて現地を調べることができ(不動産登記法29条)、職権で登記することもできます(同28条)。

固定資産税との関係

  • 固定資産税は毎年1月1日に誰が何を持っているかで決まります(地方税法359条)。1月1日に建物が無ければ、その年度の家屋の分はかかりません
  • ただし、住宅が建っていた土地の特例(税を最大6分の1にする)も外れます。くわしくは空き家を解体すると固定資産税が6倍?
  • 登記をしていない家屋(未登記の家屋)を取り壊したときは、滅失登記の手続きがないので、市区町村の固定資産税の担当に連絡します。福岡市は区役所の課税課が「未登記の新築・増築・取り壊しを行った場合……まずは課税課までご連絡ください」と案内しています

解体の前後にやる手続きの順番

いつ 手続き
契約・着工の前 補助金の申請(福岡県の解体の補助金一覧)、石綿の事前調査(アスベスト調査)
着工の7日前まで 80㎡以上なら建設リサイクル法の届出(解体工事の届出)
工事のあと 解体業者から建物滅失証明書と印鑑証明書(または会社法人等番号)を受け取る
取り壊しから1か月以内 建物滅失登記(この記事)

解体業者は、県の登録名簿をもとにした福岡県の解体業者一覧から、登録番号と有効期限つきで探せます。

解体の前後に施主がする手続き(電気・ガス・電話・水道の止め方を含む)は、家を解体するときの手続き一覧に順番にまとめています。

出どころ:不動産登記法 第18条・第28条・第29条・第30条・第57条・第164条、登録免許税法 別表第一、地方税法 第359条、土地家屋調査士法 第3条(いずれも e-Gov 法令検索)、法務局「建物滅失登記申請書」記載例(令和6年3月29日更新)、福岡法務局「不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧」(2023年3月17日更新)、福岡市東区「家屋調査のお願い(新築・増築・取り壊し)」(2025年11月28日更新)。当サイトが2026年9月26日に確認しました。この記事は手続きの説明で、個別の登記についての相談ではありません。書類の細部は申請先の法務局でお確かめください。

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