解体業者の選び方|登録と許可を名簿で確かめ、契約前に聞く8つのこと(福岡県292社の実測つき)

業者の選び方

解体業者を選ぶとき、ホームページの見た目や「実績多数」の文字では何も分かりません。公的な名簿で自分で確かめられることと、業者に聞かないと分からないことは、はっきり分かれています。この記事では、その境目を先に示したうえで、契約の前に聞く項目を並べます。

根拠は法律の条文と、当サイトが福岡県の解体工事業者登録名簿から数えた実測です。当サイトは解体業者の順位付けをしていませんし、掲載の順番を掲載料で決めてもいません(掲載の基準)。

先に結論:自分で確かめられるのは「登録か許可」だけ

解体工事を請け負うには、解体工事業の登録か建設業許可(解体工事業など)のどちらかが要ります。これは公的な名簿に載っているので、誰でも無料で確かめられます。

一方、産業廃棄物の許可・石綿の調査の資格・損害賠償保険・マニフェストの扱いなどは、名簿には載っていません。ホームページに書いている会社もごくわずかです(後述の実測)。つまりこれらは業者に直接聞くしかありません。

確かめること どうやって
解体工事業の登録 県の名簿(PDF)/当サイトの業者ページ
建設業許可(解体工事業) 国土交通省の検索システム/当サイトの業者ページ
登録・許可の有効期限 同上(名簿に満了日が載っています)
産業廃棄物の許可・石綿の資格・保険・マニフェスト・残置物・滅失証明書 業者に聞く(名簿にはありません)

1. 登録か許可があるか(500万円が境目)

建設業を営むには建設業法3条1項の許可が要りますが、「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は許可が要りません。その軽微な建設工事とは、工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事です(建設業法施行令1条の2第1項)。

そして、許可を持たずに解体工事を請け負う場合は、解体工事業の登録が必要です(建設リサイクル法21条1項)。逆に「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」の建設業許可を持っていれば、解体工事業の登録は要りません(同項、福岡県「解体工事業者の登録について」でも同じ説明)。

どちらか一方があれば合法です。「登録しかないから格下」ということではありません。扱える金額の範囲が違うだけです。

金額を分けても、合計で見られる

ここは見積もりのときに効きます。施行令1条の2第2項は、同じ業者が工事の完成を2つ以上の契約に分けて請け負うときは、各契約の請負代金を合計した額で判断すると定めています(正当な理由があって分けたときを除く)。つまり500万円を超える工事を2本に割って、許可がないまま請けることはできません。

また同3項により、施主が材料を提供する場合は、その市場価格(と運送賃)を請負代金に加えて判断します。

確かめ方は3つ

  1. 福岡県の登録名簿(PDF)。登録番号・営業所・所在地・電話・代表者・技術管理者と、有効期間の満了日まで載っています(県のページ「解体工事業者の登録について」)
  2. 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」。都道府県と業種(解体工事業)で引けます
  3. 当サイトの福岡県の解体業者一覧。上の2つを突き合わせて、登録番号と満了日を会社ごとのページに載せています

当サイトの実測:4社に1社は登録の期限が切れていた

福岡県の登録名簿(令和7年3月末現在)には447社が載っています。当サイトが1社ずつ満了日を数えたところ、110社(約4社に1社)の登録が期限切れでした。詳しくは福岡県の解体業者447社を名簿で数えたらに書いています。

ただし期限切れ=違法、とすぐには言えません。登録も許可も5年ごとの更新で、更新を申請していれば、処分が出るまで前の登録・許可が効力を持ちます(建設リサイクル法21条3項、建設業法3条4項)。県の名簿は年に1回しか更新されないので、名簿のうえで切れていても、実際には更新が済んでいることがあります。

気になるときは、登録番号と満了日を業者に見せてもらうのが早いです。登録制度そのものの説明は解体工事業の登録とはにまとめています。

2. ホームページで分かることは、思ったより少ない

「優良な業者はホームページに許可や資格を明記している」とよく言われます。福岡県の掲載292社を1社ずつ調べた結果は、その通りにはなりませんでした。

項目 公式サイトで確認できた社数(292社中)
そもそも公式サイトがある 63社(22%)
産業廃棄物収集運搬業の許可 19社(6.5%)
自社施工(自社の重機と職人) 13社(4.5%)
石綿(アスベスト)の調査の資格者が在籍 9社(3%)
残置物の片づけも相談できる 5社
損害賠償保険に加入 1社
建設リサイクル法の届出の代行 0社

当サイトが2026年9月に292社の公式サイトを1件ずつ読んで数えたものです(2026年10月3日時点の掲載数)。

読み取れることは2つです。

  • ホームページが立派だから良い業者、ではありません。名簿の業者には個人や少人数の会社が多く、8割近くはそもそもサイトを持っていません。サイトが無いこと自体は、工事の良し悪しと関係ありません
  • 書いていない=持っていない、でもありません。損害賠償保険に入っていない解体業者はまず考えにくいのに、サイトに書いているのは1社だけでした。書く習慣がないだけです

ですから、ホームページを見比べて決めるのではなく、次の項目を直接聞いてください。

3. 契約の前に聞く8つのこと

聞くこと なぜ聞くのか
廃棄物は誰がどこへ運ぶか(産業廃棄物収集運搬業の許可) 解体で出る廃材は産業廃棄物です。運ぶには許可が要ります。元請が自社で運ばない場合もあるので「誰が運ぶか」を聞きます
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の写しをもらえるか 解体工事では元請業者が排出事業者になり(廃棄物処理法21条の3第1項)、処理を他人に委託するときはマニフェストを交付します(同12条の3)。施主に渡す義務は法律にはありませんが、渡してくれる会社なら処理の流れを確かめられます
石綿(アスベスト)の事前調査を誰がするか 解体の前の事前調査は法律の義務で、2023年10月以降に着工する工事は有資格者でないと調査できません。解体前のアスベスト調査に資格の一覧があります
損害賠償保険に入っているか 隣家の外壁やブロック塀を傷つける事故は起こりえます。保険の有無と、万一のときの連絡先を確かめます
建設リサイクル法の届出を代行してくれるか 80㎡以上の解体では、届け出るのは業者ではなく施主です。委任状があれば業者が代行できます(解体工事の届出)
家財・残置物をどうするか 家庭から出た家財は一般廃棄物で、産業廃棄物の許可では運べません。誰が運ぶのかを必ず分けて確かめます(解体前の家財・残置物の処分)
どこまでやって終わりか(整地・付帯工事) 塀・カーポート・庭木・物置・浄化槽が見積もりに入っているか。「整地まで」の中身も会社で違います
建物滅失証明書をもらえるか 解体したら1か月以内に建物滅失登記が要ります(不動産登記法57条)。その申請に、工事をした業者が作る証明書を使います(解体したら建物滅失登記)

8つとも、電話や問い合わせフォームで聞けば答えが返ってくる内容です。答えをはぐらかす、書面に残したがらない、という反応そのものが判断材料になります。

4. 見積書と契約書で見るところ

法律が「書く」と決めている項目があります。

  • 契約書:工事内容、請負代金、工期、設計変更のときの代金の決め方、第三者に損害が出たときの負担など(建設業法19条1項)。この規定は許可の有無に関係なく、契約の当事者にかかります
  • 解体の契約書に特有の項目:分別解体等の方法、解体工事に要する費用、再資源化等をする施設の名称と所在地、再資源化等に要する費用を書きます(建設リサイクル法13条+省令)。解体の費用と、廃材を処理する費用が分かれて書かれているかが見どころです
  • 契約前の書面の説明:受注者は、契約の前に分別解体等の計画を書面で説明します(同12条)

なお、内訳のついた見積書を出す義務(建設業法20条)は「建設業者」=許可を受けた業者にかかる規定で、登録だけの業者には及びません。ただし内訳を出してくれない会社と契約する理由もありません。詳しくは解体の見積書・契約書で確かめることにまとめています。

5. 相見積もりは「条件をそろえて」比べる

金額だけを並べても比べられません。見積もりを頼むときに、次をそろえて伝えてください。

  • 延べ床面積と構造(木造・鉄骨造・RC造)
  • 前面道路の幅と、重機が入れるか
  • 塀・カーポート・庭木・物置・浄化槽を含めるか外すか
  • 家財・残置物が残っているか
  • 整地までか、更地にして何もしないか

同じ条件で出してもらうと、安い見積もりが何を外しているかが見えます。費用の考え方は坪数別の早見表、公的に公表されている単価は解体工事の単価表にあります。

6. 工事が始まったら、現場の看板を見る

解体の現場には、法律で決まった掲示があります。

  • 解体工事業者登録票(建設リサイクル法33条)。登録を受けた業者が掲げます
  • 建設業の許可票(建設業法40条)。許可業者が、発注者から直接請け負った現場に掲げます
  • 石綿の事前調査結果の掲示(大気汚染防止法18条の15第5項)

許可を持つ業者は登録が要らないので、登録票がなく許可票だけの現場もあります。どちらも無いときは確かめる理由があります(解体工事の看板(標識)は3種類)。

7. 「ランキング」「おすすめ」をどう読むか

解体業者のランキングやおすすめを並べたページは多くありますが、順位の付け方が示されていないものは、掲載料や紹介料で並んでいることがあります。

当サイトは順位を付けません。並び順は、業歴と、当サイトが確認できた許可・資格・情報の多さをもとに整理したもので、掲載料や紹介料では決めていません。掲載しているのは、福岡県の登録名簿に載っていて、登録が有効で、営業所が福岡県内にある会社です。加盟しているかどうかに関係なく並べています(掲載の基準・調査方法)。

トラブルが起きたときの相談先は解体工事のトラブルを防ぐにはにまとめています。

まとめ

  1. 登録か許可があるかを名簿で確かめる。ここだけは自分でできます
  2. ホームページの情報量で決めない。292社のうちサイトがあるのは22%、保険を書いているのは1社でした
  3. 8つを直接聞く。廃棄物・マニフェスト・石綿・保険・届出・残置物・付帯工事・滅失証明書
  4. 見積もりは条件をそろえて比べ、契約書は法律の項目が入っているかを見る

福岡県内の業者は、登録番号つきの一覧かエリアから探すで探せます。市町村によっては「市内の業者に頼むこと」が補助金の条件になっているので、解体の補助金の一覧もあわせてご覧ください。

出どころ:建設業法3条・19条・20条・40条、建設業法施行令1条の2、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)12条・13条・21条・33条、廃棄物処理法12条の3・21条の3、大気汚染防止法18条の15、不動産登記法57条(いずれもe-Gov法令検索)、福岡県「解体工事業者の登録について」。社数は当サイトが福岡県の解体工事業者登録名簿と各社の公式サイトを調べて数えたもので、2026年10月3日時点の掲載292社によります。制度は変わることがあるので、申し込む前に各窓口でお確かめください。

無料で見積もりをとって、くらべられます

お住まいの地域と条件に合う解体業者を、最大3社までご案内します。見積もりは各社から直接お受け取りください。

無料で見積もりを依頼する

成約手数料はいただきません。お断りいただいても構いません。